Zenfone 9 レビュー:コンパクトでハイエンド、グッドデザインを兼ね備えた待望のスマートフォン

ASUSの最新コンパクトハイエンドスマートフォン「Zenfone 9」を先行レビュー用にお借りしました。実際に約2週間ほどメイン端末として使ってみましたのでレビューしていきます。

手に収まりの良いコンパクト端末でありながらハイエンドの性能を持ち、Zenfone 8からもより進化したスマートフォンに仕上がっています。まさに求めていたコンパクト×ハイエンドがついに来た!と言えるスマートフォンです。

  • 横幅68.1mmのコンパクトサイズ
  • Snapdragon 8+ Gen 1搭載、AnTuTuスコア100万点超の高性能
  • ザラザラした背面、SFチックなデザインがカッコいい
  • 背面のカメラが大きすぎて指が当たる

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概要と外観

Zenfone 9は片手で操作できるコンパクトなサイズにハイエンドの性能を搭載したASUS製のスマートフォンです。昨年のZenfone 8からさらに小型高性能化しつつ、ディスプレイサイズと重量はそのまま、さらに魅力的な端末に。

デザインはこれまでのものからまた方向性が変わりました。カラーバリエーションもミッドナイトブラック/ムーンライトホワイト/スターリーブルー/サンセットレッドの4色と豊富。今回はサンセットレッドをお借りしました。

SFチックなデザインがカッコいい!

ディスプレイは5.9インチで前モデルのZenfone 8と変わりません。ただし端末全体のサイズは小さくなっており、ベゼルも若干細くなっているようです。前面カメラは左上にパンチホール型で搭載されています。

背面は左上の大きなカメラが目立ちますが、それだけではありません。カメラの下や右下にテキストが書かれておりSFチックなデザインになっています。

また、指紋のつきにくい新素材(ポリカーボネイトとポリウレタンの組み合わせ)を採用しており、グリップ力も上がっています。ザラザラしており、これまでのツルツルした背面とはかなり印象が異なります。

サイドは艶消しアルミ製のフレームで、丸みのないフラットな側面になっています。

下側面にはUSBポートとSIMスロット、上側面には3.5mmイヤホンジャックがあります。

右側面に音量ボタンと電源ボタンがあります。この電源ボタンは指紋センサーを兼用しており、ZenTouchという名称でスワイプなどにも機能を割り振れます。

個のカメラの下にテキストが書かれていてSFチックというかロボットアニメに出てきそうなカッコよさがあります。同じASUSのROG Phoneもそういった方向性のデザインですが、Zenfone 9は背面のザラザラ感がまた一味違います。

実際に持ってみると、やはりこのサイズはしっくり来ます。サイドがフラットになったので、持ったときに角が刺さって痛いかな?と思っていたのですが、背面と側面フレームの間の段差や丸みで意外なほど手に収まりが良いです。

付属品

Zenfone 9には、本体の他に専用ケース、SIMピン、USBケーブル、充電アダプタ、マニュアル類が付属しています。

専用ケースはハードタイプでプラスチッキー、こちらも指紋がつきにくい加工がされています。

ボタン部分は大きく切り取られたタイプ。

カメラの間から背面カラーが覗きます。その下には09の文字が。

電源アダプタも側面がシボ加工のようにザラザラしててちょっとカッコイイです。

Zenfone 9はQuick Charge 4とUSB Power Delivery 3.0で最大30Wまで対応しています。この付属の充電器も30Wなので、フルに機能を活かせます。

ゆるキャン△コラボ壁紙をプリイン

レビュー用端末を弄っていて驚いたのが、ゆるキャン△の壁紙がプリインストールされていたことです。ゆるキャン△…というよりは、スマートフォンゲームの『ゆるキャン△つなげるみんなのオールインワン!!』とのコラボのようです。壁紙以外のコラボも予定されているとか。

別売りアクセサリー

別売りのアクセサリー「Connex Accessories Set」です。ケースの背面に穴が空いていて、そこにカードケースやスタンドを貼り付けられます。スタンドは開閉でZenfone 9の操作をする設定もあります。

スペックとパフォーマンス

Zenfone 9の主なスペックは以下のとおりです。

OS Android 12(ZenUI)
CPU Snapdragon 8+ Gen 1
RAMとストレージ 16GB+256GB, 8GB+256GB, 8GB+128GB
外部メモリ
ディスプレイ 5.9インチ 2400×1080 (フルHD+) AMOLED (120Hz)
Corning Gorilla Glass Victus
メインカメラ 50MP広角(35mm換算:23.8mm相当/F値1.9/画角84.6°)
+ 12MP超広角(35mm換算:14.4mm/F値2.2/画角113°)
フロントカメラ 12MP広角(35mm換算:27.5mm相当/F値2.2/画角76.5°)
バッテリー 4300mAh
最大30W (Quick Charge 4.0/USB Power Delivery 3.0対応)
サイズ 約146.5 × 68.1 × 9.1 mm
重量 約169g
生体認証 指紋・顔
防水防塵 IP65/IP68
SIM nanoSIM×2
対応バンド GSM/EDGE:
850、900、1,800、1,900 MHz
W-CDMA:
1 / 2 / 4 / 5 / 6 / 8 / 19
LTE:
B1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 34 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42
5G NR:
n1 / 2 / 3 / 5 / 7 / 8 / 12 / 20 / 28 / 38 / 77 / 78
その他 デュアルスピーカー、3.5mmイヤホンジャック、おサイフケータイ

より詳しいスペックは公式サイトをご覧ください。

ベンチマーク

AnTuTu Benchmark(v9.4.4)での結果は3回の平均で1,069,267点でした。3回連続で実施すると温度が23℃→32℃→37℃→40℃と上がっていきましたが、スコアに影響はないようです。100万点を軽く超えるのはすごいですね。条件が合えば110万点まで上がるそうです。Zenfone 8が80万点くらいだったので、かなりのスコアアップです。

  • Zenfone 9ではパフォーマンスを切り替える「システムモード」があり、ベンチマークアプリを起動すると自動的に「高性能」モードになります。なので上記結果は「高性能」モード時のものです。

その他ベンチマークの結果は、Geekbench 5がシングルで1,306点、マルチで4,173点、3DmarkはWild LifeがMaxed OutでWild Life Extremeが2,797点、PCMarkのWork 3.0 performanceは16,989点でした。

似た点数のほかのスマホと比べると以下の通り。

SoC Antutu Geekbench 3DMark PCMark
RAM Single Multi
ROG Phone 6(Xモード) SD 8 Gen1
16GB
1119157 1307 4337 2800 17088
Zenfone 9 SD 8+ Gen1
8GB
1077264 1306 4173 2797 16989
Xiaomi 12S Ultra SD 8+ Gen1
12GB
1048448 1308 4108 2749 13433
ROG Phone 6 SD 8 Gen1
16GB
964216 1130 3494 2270 12092
Zenfone 8 SD 888
8GB
821423 1108 3400 1453 9710
  • GeekbenchはCPUの性能を、3DMarkはグラフィック性能、PCMarkはWeb閲覧など基本的な作業に関する性能を測るベンチマークアプリです。

操作感

さすがにこのスペックがあって何かしら動作で困ることはありません。リフレッシュレート120Hzのディスプレイもあって、非常にヌルヌル動きます。

また、ゲームなどを長時間プレイしていると端末が熱くなってきます。とは言え、手に伝わる熱はZenfone 8のときのような「アチチッ」というよりは「じんわり温かい」といったものになってます。背面パネルの素材や、初搭載したベイパーチャンバーなどの熱対策によるものでしょう。

ディスプレイ

Zenfone 9のディスプレイは5.9インチで2400×1080のフルHD+の有機EL(AMOLED)、リフレッシュレートは最大120Hzです。発色も良くきれいで見やすいディスプレイです。自分で色温度など調整も可能。

ディスプレイの設定にあるシステムカラースキームでは、ダークモードの壁紙の濃さを変更したり、対応してないアプリでも強制的にダークモードにする設定があります。

ただ、クイック設定パネルにダークモードのボタンがありませんでした。Zenfone 8ではあったので復活してほしいところです。

生体認証

生体認証は顔認証と指紋認証に対応します。

顔認証

顔認証は、「持ち上げたら画面オン」と一緒に使えば持ち上げただけでロック解除してすぐに使えます。解除の際に一瞬ロック画面が見えるくらいで、速度は申し分ないです。マスク着用にも対応しています。

指紋認証

Zenfone 9の指紋センサーはサイドに電源ボタン兼用で搭載されます。登録できる数は5つまでで、反応速度はまずまず。ちゃんとボタンを覆うように触れさえすればしっかり反応してくれます。

また、タッチではなく「押す」でないと反応しないようにも設定できます。

カメラ(写真)

Zenfone 9の背面カメラは50MP広角(F1.9/84.6°)と12MP超広角(F2.2/113°)のデュアルカメラです。

カメラアプリはシンプルで使いやすいです。水平バー(下向きのときは真俯瞰を示す+印)も表示されるほか、片手で使いやすいようにスワイプで設定を表示したり、倍率部分をスワイプすると細かく倍率を切り替えられます。

画面下に表示されるモード変更ボタンは自分でカスタマイズできます。基本の写真、動画のほかにはタイムラプス、ポートレート、ライトトレイル、PROモード、PROビデオ、夜景、パノラマ、スローモーションの機能があります。

設定ではグリッド表示やウォーターマークなどがあります。

実際に撮った写真をいくつか掲載します。

通常撮影

ポートレート

超広角

通常と超広角とで色味などの違いは特に現れませんでした。

夜景


撮った写真をまとめてGoogleフォトにアップしてあるので、興味ある方はどうぞ。

カメラ(動画)

Zenfone 9には6軸のハイブリッドジンバルスタビライザーが搭載されています。ジャイロセンサーで本体の動きを検出し、レンズやセンサーを含むカメラモジュール全体が可動することでカメラに手ぶれ補正が入ります。

普段は動画撮影しないのですが、試しに片手持ちで「手ぶれ補正なし」「普通(ジンバルあり)」「HyperSteady(EIS補正あり)」で歩いてみました。

■手ぶれ補正なし

■普通(ジンバルあり)

■HyperSteady(EIS補正あり)

手ぶれ補正あるとぬるっとしますね。

バッテリー

Zenfone 9のバッテリーは4,300mAhです。Zenfone 8は4,000mAhだったので少しだけ増えてますね。

画面の輝度を100-105ルクスに調整し、『PCMark』のバッテリーテストを行ったところ、100%→20%まで10時間49分でした。使っていて悪くはないのですが、バッテリー持ちが良いとは言えない程度です。

いくつかの端末で比べてみると以下の通り。(輝度は同じく100-105ルクスに合わせましたが、必ずしも新品ではないのでただの参考です。)

バッテリー容量 PCMark
Redmi Note 11 Pro 5G 5,000mAh 13h 42min
Pixel 6a 4,410mAh 13h 5min
Zenfone 9 4,300mAh 10h 49min
Zenfone 8 4,000mAh 10h 39min
Galaxy S20 4,000mAh 8h 25min

バッテリーの持ちはZenfone 8と似たようなものですね。

バッテリーケア

Zenfone 9は最大30Wの急速充電に対応します。ただ急速充電はバッテリーが熱くなったりで負担も大きいです。なので就寝時などゆっくり充電すれば良いときは「低速充電」したり、指定時刻近くに満充電するように「予約充電」したり、そもそも90%(または80%)以上充電されないようにも設定できます。

これらは通知から「1回スキップ」もできるので積極的に使っていきたいところ。あとはROG Phoneのようにバイパス充電(バッテリーに充電するのではなくシステム本体に直接電源を供給)があると嬉しかったのですが、さすがにないようです。

ZenUI

Zenfone 9はZenUI 9を搭載します。純正のAndroidに近いUIを有しながらユーザー体験の向上に繋がる部分のみ変更が加えられています。これまでのZenfoneに搭載されてきた機能もありますが、気になったものをいくつか紹介します。

ミニヘッドアップ通知

ヘッドアップ通知の表示形式をミニサイズにできます。

左:通常のヘッドアップ通知 右:ミニヘッドアップ通知

スマートキー

指紋センサーを搭載した電源ボタン(Zen Touch)は、電源と指紋認証以外にも機能を与えられます。

2回押し・長押し・スワイプにそれぞれ動作を割り当て可能です。背面指紋センサーが多かった頃は、指紋センサーをなぞると通知を下ろすことができる機種もありましたが、それの発展形ですね。

エッジツール

エッジツールは画面端から呼び出すランチャーです。ここから起動したアプリはフローティングウィンドウで表示されるので、今使ってるアプリを離れずにちょっと使いたいアプリを設定しておくと便利です。

当サイト的には、KLWP(テキスト入力で日本語が入らない)を使ってるときにエッジツールでテキストエディタ系のアプリを呼び出すのが良い感じです。

背面ダブルタップ

端末の背面を2回タップすると指定した機能を実行できます。ダブルタップだけでスクリーンショットが撮れるのは便利です。

スクリーンショット

Zenfoneは昔からスクリーンショット関係の機能も豊富です。ステータスバーやナビゲーションバーを削除したスクリーンショットが撮れたり、ファイルのフォーマットをpngかjpgか選択できます。また、Android 12以降でスクリーンショットを撮ると出てくる編集などのツールバーをオンオフできます。スクリーンショットを撮るたびに出てくるのは邪魔だったりするので、オフにできるのは嬉しいですね。

Game Genie

ゲーム関連の機能が詰まったGame Genieはリニューアルしました。ROG Phone 6と同じく、ゲーム中に右上からスワイプで出てきます。レイアウトが横画面のゲームに最適化したのかな?と思いますが、個人的には以前のレイアウトのほうが好みでした。

Zenfone 9の良かったところイマイチなところ

Zenfone 9を2週間ほど使ってみて感じた良いところとイマイチなところをまとめてみます。

良いところ
  • 外観デザインがカッコいい!
  • 触り心地のいい背面、持ちやすいコンパクトサイズ
  • 第一線で活躍できるハイエンドの性能
  • 細かくカスタマイズできるZenUI
イマイチなところ
  • 背面カメラが大きすぎて微妙に触れる
  • ワイヤレス充電非対応
  • クイック設定パネルにダークモードのボタンがない

外観デザインとコンパクト

やはりこれが最大の特徴と言いたいのが、サイズも含めたデザインですね。背面の文字レイアウトだったり、背面から見たときにサイドのフレームが黒枠のように見えるだとか、そのサイドフレームは艶消しでシブイだとか、かなり私好みです。

最初は背面カメラが大きすぎてちょっと不格好じゃない?とも思ったのですがすぐに慣れました。ただ、慣れたのは見た目だけで、ちょっと気になる点も。

どうにも持ち方によっては指が背面カメラの縁に触ってしまうことが多いです。レンズど真ん中に触れることはあまりないのですが、けっこう気になります。コンパクトサイズ・巨大なカメラユニット・縦並びの3つが揃ったせいで、これは未だうまく解決できてません。

ハイエンドの性能はやっぱりいい

正直、自分の使い方にはオーバースペックだとは思います。こんなコンパクトスマホでありながらAnTuTuで軽く100万点を超えるとは驚きです。これなら突然高負荷なゲームをやりたくなっても問題ありません。

コンパクト×ハイエンドはほとんどないので、今後もZenfoneはこの路線で行ってほしいと願います。

細かくカスタマイズできる

Zenfoneをレビュー用にじっくり触るのは久しぶりだったのですが、使いやすいようにカスタマイズできることが増えていて嬉しくなりました。(夏にZenfone 8を購入したのですが、あまりじっくり触ってなかったので…。)ZenUIは基本的に純正Androidと同じで「ユーザー体験の向上に繋がる部分のみ変更が加えられている」というのが良いですね。派手な見た目の変更ではなく、地味に使い勝手の向上。これがじわじわ効いてきます。

まとめ:コンパクト×ハイエンド×グッドデザイン=最高

ここしばらくサブ端末にZenfone 8を使っていて、手にしっくり来るのがいいな、と思ってました。Zenfone 9もしっくり来るサイズ感で、さらにグリップ力がかなり向上しました。(Zenfone 8は微妙に滑りそうな触り心地だったので…。)

また、デザインにおいてはROG Phoneのテイストが混ざってきて、それでいて別の方向性を示してるのが良いと思いました。このデザインは本当に私好みです。

そしてこの見た目で中身はばっちりハイエンド。多くの人が望んだコンパクトハイエンドがついに実現したようです。

もちろん、もっと性能の高いゲーミングスマホや動画を見やすい大画面端末、写真特化の端末などもあるので「最強」ではありません。それでも、高い水準で欲しい物が揃った「最高」のスマートフォンの1つだと言えそうです。

参考情報

  • 本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
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OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。

様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。

スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。

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