【コラム】アニメに出てくるスマホと、それが印象的だった5つのアニメ

日本では1年間に250本以上(*1)のアニメが制作されています。そのジャンルは様々あり、現代を舞台にしたものではスマートフォンが登場するものも少なくありません。

アニメによってスマートフォンの描写のしかたはそれぞれですが、なかには「このカタチは●●だ」と機種が特定できるものもあります。それが登場人物のキャラクター性と合っていると、なかなかニヤリとしてしまうものです。

今回は、そんなアニメに登場するスマートフォンについて、その描写パターンと特定できる例、そしてこの10年で印象的だったアニメ内登場スマホを紹介します。

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アニメにおけるスマホの描写パターン

アニメの中にスマートフォンが出てきたり、物語上で役割があることも珍しくなくなりました。とはいっても、その「スマホ」がどの程度詳細に描写されるのかは作品それぞれです。だいたい4つのパターンがあります。

とりあえずスマホっぽい

まずいちばん簡単なパターンとして「パッと見でスマホとわかるけどかなり簡略化された四角い板」です。

アニメの中でのスマホの役割は、あくまで登場人物がスマホを使って電話なり操作をしていることです。なので例え四角い板にしか見えなくても視聴者が「スマホだ」と分かればOKです。

キャラによって色の違いくらいはあるかもしれませんが、詳細に描いていたら作画コストも高くなりますしね。こういう描写が最も多いのではないでしょうか。

全員iPhoneっぽいスマホ

次によくあるのは「全員iPhoneっぽいスマホを使ってる」です。そしてこの「iPhoneっぽい」というのは、丸いホームボタンのあるスマホです。

左:Smartphone 中:Phone iPhone 右:Phone Android

今では端末前面にホームボタンや指紋センサーがあるスマホは少なくなりましたが、GoogleのMaterial Symbolsでも上図のようになりますし、これがあると「スマホっぽさ」が出るんですよね。(とは言え、近い将来保存アイコンのフロッピーディスクのような扱いになるかもしれませんが…。)

スマホっぽさは出したいけど個別に設定を起こすのは面倒な場合はこれになります。実際、物語の主人公となりやすい年代はiPhone率が高いので全員iPhoneでも違和感はありません。

まったくオリジナルのスマホ

物語上でなんらかの役割があって、まったくオリジナルの詳細なデザインのあるスマホが出てくることもあります。未来の話だったり、特別な機能のある生徒手帳兼用の情報端末だったりします。

「ようこそ実力至上主義の教室へ」や「機動戦士ガンダム 水星の魔女」でこういったスマホ(情報端末?)が出てきます。これらは、現実にないものだからこそ、グッズとしても魅力的ですね。

キャラそれぞれのスマホ

そして最後に、登場するキャラごとに別々のスマホが与えられている場合です。設定を作ったり、キャラごとに違うスマホを描かなければならないのでかなり面倒だと思うのですが、こだわりを感じます。

そして、こういったスマホは元となった機種が何か判別できることがあります。そして、なぜそのキャラがそのスマホなのか、それを考えるとまた面白いのです。

特定できるスマホの例

では、実際にどんなアニメでどんなスマホが使われているのか。スマホが特定できたものの例をいくつか紹介します。(特定とはいいますが、ある程度の絞り込みも含めます。)

ぼっち・ざ・ろっく!

dアニメストア ぼっち・ざ・ろっく! #4 ジャンピングガール(ズ) より
©はまじあき/芳文社・アニプレックス

2022年秋に放映された「ぼっち・ざ・ろっく!」主要人物4人それぞれ別のスマホを使っています。上の画像はドラム担当の伊地知虹夏のスマホです。4話でアー写を撮ったときのものです。

これはおそらくiPhone 11です。iPhoneはかつては丸いホームボタンが特徴的でしたが、今はドでかいノッチが特徴的ですね。

dアニメストア ぼっち・ざ・ろっく! #4 ジャンピングガール(ズ) より
©はまじあき/芳文社・アニプレックス

背面カメラを見るとレンズが縦に2つ並んでおり、その右側にフラッシュがあります。ここのパターンはiPhone 11/12と13で違うので判別できます。あとはiPhone 11か12かというところですが…なかなか苦しいですね。

実物ではiPhone 11は側面がラウンドでiPhone 12はフラットです。ただアニメ内ではケースを付けてますし、そもそもそこまで詳細に描かれないこともあります。今回は正面からの絵が、画面端の方で丸くなってるようなテカリがあるので11かな…?といったところです。

dアニメストア ぼっち・ざ・ろっく! #4 ジャンピングガール(ズ) より
©はまじあき/芳文社・アニプレックス

同じ4話に出てきたベース担当山田リョウのスマホです。これはAQUOS R6です。ケースを付けているようですが、背面カメラがなかなか特徴的で、大きなレンズが中央寄りにあってその右に小さいレンズとフラッシュがあります。

また、同じ回に正面からも描かれており、エッジディスプレイなことがわかります。これらから、AQUOS R6だと特定できます。

ヤマノススメ

dアニメストア ヤマノススメ おもいでプレゼント より
©しろ/アース・スター エンターテイメント/『ヤマノススメ おもいでプレゼント』製作委員会

“女の子だけのゆるふわアウトドア”アニメ「ヤマノススメ」の主人公の幼馴染「倉上ひなた」のスマホです。

これはHTC J butterfly HTL21です。作中で使用される描写は何度も出てきており、その中でも上の画像では正面からはっきり映ってます。この上部にあるスピーカーが特徴的です。

このほかの場面で背面が何回もでており、その時のカメラ周りのデザインも同じです。

ヤマノススメは2013年の1期から2022年の4期まで制作されていますが、基本的に使っているスマホは変わりません。逆に「名探偵コナン」は長寿番組ということもあり、いくつものスマホが出ているようです。

2023年春に放送中の「異世界はスマートフォンとともに。2」は、タイトルにあるようにスマホが(それなりに)重要な役割を果たす物語なのですが、1期と2期で主人公の使ってるスマホが変わってます。1期では丸いホームボタンがあってiPhone風でしたが、2期ではホームボタンがなくなり画面にはAndroidのナビゲーションバーのようなものがあったりします。まぁ、時代に合わせて、ですかね。

印象的だったスマホ描写

アニメの中で見たスマホで、私が印象的だったものを5つ紹介します。こういったところに注目してみるのも面白いですよ。一部ネタバレも含むので、その点はご注意を。

ご注文はうさぎですか?

dアニメストア ご注文はうさぎですか? 第10羽 対お姉ちゃん用決戦部隊、通称チマメ隊 より
(C)Koi・芳文社/ご注文は製作委員会ですか?

私が「アニメ内のスマホを特定」というものに初めて出会ったのが「ご注文はうさぎですか?」のチノのスマホです。これは日本では発売されていないXperia SPです。端末最下部のフローティングプリズムが特徴的で、着信時などに点灯します。

2013年発売で、ご注文はうさぎですか?は2014年なので比較的新しいですね。まだほかのメンバーはガラケーもあった時代です。当時話題になって、わざわざ海外通販で購入したファンもいたとか。

ちなみに、3期の「ご注文はうさぎですか? BLOOM」では(おそらく)Xperia 5になっていました。

TVアニメ「ペルソナ5」

dアニメストア TVアニメ「ペルソナ5」 第1話「I am thou, thou art I」より
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project

2018年のTVアニメ「ペルソナ5」では主人公勢がみんなXperia XZ1を使っています。かなり忠実に描かれており、端末上部には「SONY」のロゴもあります。

アニメに出てくるスマホといえば、特定できるほど似ているとはいえ、ロゴなどはボカしたりで曖昧にしてるものがほとんどです。しかし「ペルソナ5」ではエンディングクレジットに協力としてXperia™が入ってます。これはなかなか衝撃でした。

このTVアニメ「ペルソナ5」は、CloverWorksがアニメーション制作しています。これはA-1 Picturesのブランドの1つで、A-1 Picturesは親会社をたどっていくとソニーに結びつきます。そんな繋がりがあるからこそ、なんでしょうかね。

サクラダリセット

dアニメストア サクラダリセット 第3話「CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY 1/2」および第9話「Strapping/Goodbye is not an easy word to say」より
©河野裕・椎名優 /KADOKAWA/アニメ「サクラダリセット」製作委員会

2017年のアニメ「サクラダリセット」の主人公「浅井ケイ」のスマホです。この使っているスマホが「Xperia X Performance SOV33」、そして物語中の過去(2年前)に使っていたスマホが「Xperia ZL2 SOL25」です。

過去回だからといって同じスマホでも良いと思うのですが、ちゃんと分けています。そして実際の発売時期もXperia X Performanceが2016年6月でXperia ZL2 SOL25が2014年5月と2年前なのです。ここをちゃんと揃えてくるのはこだわりだと感じました。

なお、サクラダリセットにはほかにも詳細に描かれたスマホが登場し、主要人物のスマホはみんなauのものでした。それっぽいアイコンも見えます。

言の葉の庭

dアニメストア 言の葉の庭より
©Makoto Shinkai/ CoMix Wave Films

新海誠監督の2013年の作品「言の葉の庭」のユキノ(雪野百香里)のスマホです。これは当時のオシャレ系なMedias WP N-06Cです。描写が精巧すぎてもう見ただけですぐにわかりますね。こんな実写かと思うようなスマホがアニメで出てくるとは思いませんでしたので衝撃でした。

ただ、この画像、よーく見ると2枚目の方で、ステータスバーのアンテナとバイブの間に「SIM未挿入」のアイコンがあります。

もちろん、この状態で普通に電話してます。おそらく資料とした実機なり写真なりがSIMの入ってないものだったのでしょうね。細かく正確に描いたからこそのミス?です。

君の名は。

YouTube 「君の名は。」予告より
(C) 2016「君の名は。」製作委員会

最後にこれも新海誠監督の「君の名は。」です。上の画像はどちらも立花瀧くんのスマホ、iPhone 6sです。相変わらず本物のような精巧さです。

これについてはちょっと物語のネタバレがあるので一応隠しておきます。既に見たことある人は以下タップしてご覧ください。

ネタバレOKな人はここをタップ

瀧のスマホはiPhone 6sで、もう一人の主人公、宮水三葉のスマホはiPhone 5sです。iPhone 5と5sは見分けにくいですが、ホームボタンの□がないことやリングから5sだとわかります。

iPhoneは6から大きくデザインを変えました。なので5sと6は1世代の差よりも新旧を強く意識させます。東京の瀧がより新しい6sで、田舎の三葉が5sというのは都会と田舎の対比のようにも思えます。ただ実際は別に田舎だからって最新機種が売ってないわけではありませんよね。キャラとしてそういう印象付けしたいのかな?と思ってました。

そして、物語が進むと実は二人の時間軸は違っていて、三葉の生活する3年後の時間が瀧の生活する時間軸だと判明します。ちなみに三葉の時間軸が2013年、瀧の時間軸が2016年らしいです。iPhone 5sは2013年9月20日発売でiPhone 6sは2015年9月25日‎発売です。…あれ?三葉の最初が9月3日だったので、iPhone 5s発売前?ということはiPhone 5だったのかも…。

ともかく、三葉の時間軸ではiPhone 6系統はまだ姿がないわけで、田舎だから古いスマホというわけではありません。むしろ新しいスマホを使ってます。(見たこと無いはずのiPhone 6sを驚くこと無く使いこなす三葉もすごいですが。)

都会と田舎という対比ではなく、使ってるスマホで二人の時間軸にズレがあるということを示唆していたんですね。これはiPhoneでしか、そしてデザインが大きく変わったiPhone 5系と6系の間でしかできない仕掛けです。

これに気づいたときはかなり興奮しました。(本当にそんな意図があったのかどうかは確かではありませんが…。)

まとめ

アニメに出てくるスマホ、それがどの機種かわかると登場人物が身近になったようで楽しいです。さすがに機種自体が物語に関わってくるものはほとんどありませんが、意外とキャラの性格を反映してあったりします。(複数いる中で一人だけiPhoneだと「あーiPhone使ってそう」のように見えます。)

アニメ見る方は、ぜひ登場するスマホにも注目してみてください。

おまけ

あにすま vol.1

あにすま vol.1

A5 / 38P / フルカラー

2017年に「アニメキャラが作中で使ってるスマホを特定」という内容の同人誌を出しました。だいぶ前のものですし、しばらくダウンロードできるようにしておきます。興味がある方はご覧ください。

また、アニメキャラの使っているスマホに関する情報は、この当時からGoogleスプレッドシートで集めていました。今は私はほとんどノータッチですが、時々加えてくれてる方がいるようです。こちらのほうが情報量が多いので、興味ある方はどうぞ。

注釈

  1. ^「アニメ制作業界」動向調査(2022)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
  • 本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
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OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。

様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。

スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。

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