MOONDROP(水月雨) Illuminationレビュー:水月雨における2020年の掉尾を飾るのに相応しい透明感あふれるサウンド

水月雨の最新フラグシップモデル、「MOONDROP Illumination」を購入したのでレビューします。

「MOONDROP Illumination」は国内未販売のモデルで、12月7日の段階では海外から個人輸入する以外の方法がありません。また、国内では試聴できる場所も存在しないため、ネット上にある情報(しかも英語・中国語の)を頼りにするしかない状態です。

私が確認した限りでは日本でレビューしている方は(翻訳を除き)1人も確認できませんでした。もし購入を検討している方の参考に少しでもなればと思い、筆をとった所存です。

  • 透明感のある唯一無二な音質
  • プラグ部の交換ができる
  • パッケージデザイン「も」素晴らしい
  • 本体カラーはちょっと派手かも
  • 低音は求めないほうがいい
形状 耳掛け・カナル型
ドライバ数 1DD(ダイナミックドライバ型)
再生周波数帯域 20Hz-20kHz
インピーダンス 25Ω
感度 124dB/mW.
  • 本記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

パッケージは水月雨らしいがちょっと攻めてきた印象

まず驚いたのがパッケージデザインです。水月雨は自社の萌えイラストをパッケージデザインとして使っています。その中でも、「Illumination」のパッケージは2020年の掉尾を飾るのにふさわしいデザインです。

従来までのパッケージは漫画の一コマにあるような、所作を表しているかのような物が多めでしたが、「Illumination」はそれらよりも雰囲気に寄せてきてる気がします。

外箱スリーブを外すと「水月雨」のロゴが金色で刻印されています。高級感が漂ってきますね。

更に開封するとイヤホン本体から神秘的な光が伸びているかのようなイラストが。デザインの1つ1つこだわりを感じます。

イヤホン本体はこの箱にハマっていました。演出がうまいですね。

付属品は通常のイヤピースに加えて「MIS-Tip」と呼ばれるウレタン(?)のイヤピースが入ってました。その他はケーブル、ピンセット、フィルター、ケース、変換機、冊子類です。

本体デザイン

「MOONDROP Illumination」の本体カラーは金です。それも控えめなものではなく、光沢が目立つゴールド。これを外で着けるのはちょっと勇気がいりますね。

付属のケーブルと繋げるとこんな感じです。ちなみに、接続方式は2pinを採用しています。

ジャック部分は着脱可能

「MOONDROP Illumination」に付属しているケーブルはプラグ部を交換することができます。3.5mm端子は汎用性の高い端子です。これは大半の機器に搭載されていますが、オーディオをやっている層の中には「バランス接続」を使用している方々も存在します。

ところが、その「バランス接続」に対応しているケーブルは別売なことが多く、1本の価格がそこそこしたりするものも多いです。その問題点を解決してくれるかのように、プラグ部を交換できるケーブルを標準で同梱してくれるのには驚きました。とはいっても、ハイエンド帯ではこれが当たり前なのかもしれませんが…。

音質:すべてがどうでもよくなる

私はハイエンドに位置するプレイヤーやスピーカーなど、自分の所有物や他人の所有物、はては試聴スペースまで足をはこび、そこまで多くはありませんが色々な音を聴いてきました。

それらの経験から「なんて解像度の高い素晴らしい音なのだろう…」など、様々なことを感じとってきましたが、「MOONDROP Illumination」の音は搭載されているチップ、回路、音源など、そんなことが「すべてどうでも良くなる音」を鳴らしてくれます。抽象的になってしまうため、実際に曲を聴いた上での評価を以下に書いていきます。

試聴環境:AQUOS R5G,Foobar2000

EGOIST – Planetes

Planetesは私が気に入っている曲の1つで、かなりの回数を聴いている曲です。新しいイヤホンやプレイヤーを買うと毎回この曲を聴くのですが、本当に突き刺さる製品は鳥肌が毎回立ちます。

そして、それは「Illumination」も例外ではありません。というのも、「Illumination」の中高音域は繊細かつ明瞭で、イルミネーションのようにまばゆい音を鳴らしてくれるからです。

まさに名前の通り、金色の音を鳴らしてくれるところに声を漏らしてしまいました。ただ、ここだけ読むと「中高音がキツイんじゃないの?」と感じる方もいるかもしれません。そこに関しては、後ほど触れていますので、気になった方はスクロールして読んでみてください。

Yunomi – 走馬灯ラビリンス

こちらは「Kawaii Futurebass」と呼ばれる8bitのピコピコ音をベースにしたようなカワイイ系の曲。前述したように「Illumination」は音場表現に秀でており、スマホであろうとも広い音場を実現してくれます。

一般的なイヤホンであれば耳の中で鳴っていたり、頭の中で鳴っているといった表現を見かけますが、「Illumination」は頭の上、もしくは鼻から上を360°包み込むかのような位置で鳴っています。

よく比喩で「コンサートホールで聴いているみたいだ」とか、「カラオケボックスで聴いているかのようだ」と例えられていることがあります。その基準でいくならば「大きめのリビングで聴いてるくらいの広さ」のように感じます。

ちなみに、低音は控えめです。そこに関しては「優しい」の一言で済むので割愛します。

遠い音楽 20th Version

最後に男女のデュエット曲です。この楽曲は非常にスローペースでマイルドなため、水月雨の透明感あふれる優しい音作りとの相性が特にいいです。

ただ、私が所持している同社の「A8」と比較してみると、中高音が強調されている印象を持ちました。同社から発売されている「Chaccone」に近いような、従来の水月雨製品にあるような「アナログチックな優しい音」を期待するとガッカリするかもしれません。ここらへんの好みはハッキリと分かれそうなところです。

イヤピースの選択は慎重にしたほうがいいかも

ここまでは称賛ばかりしてきましたが、「Illumination」は従来の水月雨とはちょっと異なる音を鳴らします。

その中でも特段目立つのは高音域です。水月雨らしい透明感のあるサウンドをベースにしつつも、神々しいというか、ちょっと聴いていて気持ち悪くなるようなチューニングをしています。

刺さるわけではないのですが、ちょっと不愉快です。これは付属の「MIS-Tip」を装着することによってマイルドな感じに仕上がりますが、ちょっと籠もったような音になってしまうため、本来の音を聴いているような気分になれないのがちょっと残念なポイントです。

…と、これは購入当初の印象でした。100時間ほど慣らしを済ませた今は従来どおりのイヤピースでも不愉快に感じることはありません。100時間ほどエージングすると、けっこう変わりますよ。

総評:水月雨の順当な進化を感じることができるイヤホン

私は今年の初頭に同社の「KXXS」を購入し、そこから「A8」、そして「Illumination」と購入してきました。水月雨のイヤホンはオールラウンダーなキャラクターですから、万人受けする音であると言えます。

「KXXS」は優しい美音系イヤホン、「A8」は「KXXS」のBA版で、ちょっと元気なモデル。そして「Illumination」は「KXXS」の真骨頂。10枚ほどベールをとって覚醒した姿だと思っています。ちょっと前に「Blessing 2」や「S8」も試聴してきましたが、「Illumination」はやはり異なるキャラクターでした。

ただし、前述したように「中高音が強調されている」ような気がしますので、「水月雨といえば『KXXS』や『S8』!」といった音を期待しすぎるとガッカリするかもしれません。そこら編も踏まえて、人に進められるかと言われると正直いって微妙です。音質は間違いないのですが、価格面を考慮するとどうしても…。

やや批判的になってしまいましたが、私は購入して満足しています。ただ、優しさと自然さは「A8」のほうが上ですから、従来の音が好きな方は「S8」や「KXXS」を購入したほうが満足度は高いかもしれません。

参考情報

  • ILLUMINATION | MOONDROP
  • 本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
OREFOLDERの最新情報をお届けします
author icon
CloNis

2002年生まれ、自分の好奇心を満たすために行動してます!

行動(選択)基準はよくもわるくも「おもしろいか、おもしろくないか」になりがち。スマホはGalaxy Z Fold 5、最近はAngenieuxのレンズにハマってます。

⇨CloNisの記事一覧